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archives:01

熊本TODAY
 
  archives:02    
師走だろうと
年の瀬だろうと
あんまり関係ないもんね
ときどき薄日をあびながら
のんきに語りかける風景もある
  December 25, 2007
  (宇土市 古城)
曇りの日に撮った
風景写真はふつう
ピーカンで撮った写真に
見劣りするもんだが
そうでない風景もたまにある
  December 18, 2007
  (宇土市 船場橋)
望遠レンズも無いのに
アオサギの写真が撮れる。
野鳥と人間の限界距離が
少しずつ縮まっていることを
ただ喜んでいいのかどうか
  December 11, 2007
  (芦北町 女島)
熊本のローカル線の
いつもの電車が今日は
なんだか少し違う
福北ゆたか線のステッカー
日常の朝のささいな気分転換
  December 04, 2007
  (豊肥本線 水前寺駅)
藍の島に冬風の吹く頃
お魚もだんだん太ってくる
それを狙う釣り人も
防寒服を着こんで
大きなボラなど釣り上げる
  November 27, 2007
  (天草市 北浜)
海に囲まれているぶん
暖かいはずの天草にも
冬の気配が少しずつ
殉教公園の木々の色などに
いつのまにかあらわれる
  November 20, 2007
  (天草市 船之尾町)
朝の九時に出発した
各県の駅伝選手たちも
昼ごろには差が開き
誰も独りぼっちで
思い出した頃に駆け抜ける
  November 13, 2007
  (九州一周駅伝 津奈木町)
旅先で秋は深まり
たどる道の端に
懐かしさが色づく
もし私がこの街で
育っていたらと考える
  November 06, 2007
  (肥薩おれんじ鉄道 水俣高校前)
時速100kmで
運転しているときには
わからなかったが
ちょっと上から眺めたら
人工血管のような道だね
  October 30, 2007
  (九州自動車道 和水町)
地方都市の
繁華街の裏手へ
少し歩いてみる。
記憶の奥から引き出したような
稲小積みの景色
  October 23, 2007
  (水俣市 大園)
青空の下には
黄金色の稲穂と
のどかな里山
箱庭の部分品が
原寸大でひろがる
  October 16, 2007
  (南関町 上長田)
夏の陽が降る日も
冬の雨が降る日も
毎日歩いて登る坂道は
子供の足には過酷だが、
想い出の景色は坂の上の校舎
  October 09, 2007
  (和水町 菊水南小学校)
合併して人口六万の
街のはずれの田んぼの中に
新幹線の駅を作り始めた。
十年後の街の姿はもちろん
私にもわからないが
  October 02, 2007
  (玉名市 玉名)
風も空もかわった。
総理大臣もかわった。
秋草を揺らしながら
新しい地平へ、
旅立ちたい今日だ。
  September 25, 2007
  (鹿児島本線 玉名駅付近)
真夏日つづきの
過酷な夏に
ようやく影が差した。
温泉ホテルでゆったりと
過ごす我を夢想する午後の道
  September 18, 2007
  (玉名市 立願寺)
平成19年9月11日
昼過ぎまで暑かった
熊本の町に夕方から
ぱらぱらと雨がはしった
暮れ時の虹は、夏の終幕か
  September 11, 2007
  (熊本市東部上空)
日陰で汗を拭っていて
ふと目をあげると前方に
蒸気機関車のまぼろしが
八代平野を駆けている
行き先は秋の入り口かい
  September 04, 2007
  (氷川町宮原)
金峰山のかなた
島原湾の上空に
高々とわいた積乱雲が
傾いた日差しの中で
夕風に蹴散らされる
  August 28, 2007
  (萩原町から)
すみきった朝
晴れ渡った空
電車も軽々と動く
連日陽にあぶられた
カンナだけが少しくたびれた
  August 21, 2007
  (新大江2丁目)
驟雨に濡れた
レールの彼方へと、
遠いボクの記憶をのせた
焦げ茶色の客車を連ねて
急行列車が走り去った
  August 14, 2007
  (JR八代駅構内)
夏に焙られた街から
目に見えないけれど
いろんなものが空に
すいあげられていく
遠くにあやしげな雲がわく
  August 07, 2007
  (八代市前川)
若者だったころ
盆休みで九州にもどると
花の色と山の色と
そしてなにより
空気の香りが違うのに驚いた
  July 31, 2007
  (八代市横手町)
その気になって探してみると
日本中のあちこちの町外れに
私たちの少年時代の
夏の名残が朽ち果てながらも
残っているのが見つかるのだ
  July 24, 2007
  (人吉市内)
中心気圧930で沖縄を通り
そのまま九州の南東をかすめた
台風が通り過ぎてしまった。
雨風は山地が遮ってくれたが
シーズンはまだまだこれからだ。
  July 17, 2007
  (立田山上空)
熊本市東部の住宅街を
ゆったり蛇行する白川
これでもかと降る雨を集めて
流れも早し時速40km
水位も危うし4m超
  July 10, 2007
  (下南部1丁目)
川沿いの道の先が
そこだけ埃っぽいのは
むかしどこかで見たような
採石場と砂利プラントが
黙々と働いているせいだった
  July 03, 2007
  (甲佐町 豊内)
あるいは強く
今はやや弱く
街の隅々まで濡らす
長雨を小さな傘に受けて
佇むものたちよ
  June 26, 2007
  (人吉市上青井町)
雨空の八代海に
打ち捨てられたような
浚渫船のかたまりが
薄日を背景にすると
みょうに魅力的だ
  June 19, 2007
  (八代市千丁町)
昔ながらの
日本家屋に欠かせない
畳表の原料が育つ田を
見渡せば彼方に伸びる
新幹線という名の砦
  June 12, 2007
  (八代市千丁町)
鮎釣り解禁日の朝も
豊かな川の水は
変わることなく流れ
今年も釣り人たちが集う
自然とは、平和とは、この風景
  June 05, 2007
  (甲佐町 緑川)
あの山のはるか向こうの東京で
政治の闇のどろどろにまみれ
政治家が自死したとの報を聞く
思えばここは彼の選挙区の真ん中だ
森を渡る風のほかは、あまりに静かだ
  May 29, 2007
  (大津町杉水から阿蘇方向)
五月の光のもと
緑の草は輝きを増し
竹の仲間は枯れ色にゆれる
あいだを駆け抜ける
バッタのような電車一両
  May 22, 2007
  (熊本電鉄 坪井川公園付近)
交通安全運動に
文句を言うつもりは
ないんですけど。ただ、
欧風のスマートな車体を
パトカー色にするとは…
  May 15, 2007
  (大江5 交通局前)
生身の人間が
汗ばんで歩く町も
四角く切り取ると
ミニチュアカーのための
ジオラマのような気もする
  May 08, 2007
  (白山通り)
うす曇りの日常生活に接近して
ブルーな衝撃が編隊でかすめる
軒下の洗濯物と並べて置いてさえも
!心ひきつける衝撃だ!
この誘惑で九条を変えたいんだろうか
  May 01, 2007
  (九品寺3丁目)
コーラ屋さんの
トラックが停まっていたので
歩道の内側へ進路を変えたら
生垣の陰にたたずむ
石の蛙いっぴき
  April 24, 2007
  (サンリブくまなん前)
町の真ん中の
駐車場の片隅に
置き忘れられたかのような
三両の市電に
ちょっとおどろく
  April 17, 2007
  (大江5 旧交通局)
どこの街でも
どこの国でも
場所と時期を選べば
心が謙虚ならば
見つけられる「美しい国」
  April 10, 2007
  (長六橋下流)
宮本武蔵も
西郷隆盛も
夏目漱石も
見たかもしれない
朝もやの白川
  April 03, 2007
  (熊本大学工学部)
歩道橋の上から
電車通りを見渡すと
思いのほか広くまっすぐで
人生の先まで開けたような
うれしさがよぎった
  March 27, 2007
  (国府1丁目交差点)
夏でも冬でも
降っても晴れても
毎日歩いた小さな駅の
プラットホームを今日
飛び立つ若者がいる
  March 20, 2007
  (豊肥本線 竜田口駅)
半島のみかん山から
雲間の光でかがやく海を
見渡しているうちに
今年の春はこんなところから
一歩一歩近づいているのだ
  March 13, 2007
  (国道266不知火海)
今年の春先は気のせいか
空気が澄み渡って
風景のはっきりした日が多いが
こんな日は紫外線も水も緑も
遠慮なしに目に入り少々疲れる
  March 06, 2007
  (七城 鴨川河畔公園)
晴れなのか 雨なのか
冬なのか 春なのか
いまだ正体をみせぬ空に
どこか異国風な雲が湧き出す
こんな浮遊感も悪くはないね
  February 27, 2007
  (菊池市 迫間川)
肥後つばきの花のむこうに
ところどころ湯煙をあげながら
温泉街をまがりくねって流れる川
ここは山鹿温泉の奥座敷
冬の日の慰安が静かにひろがります
  February 20, 2007
  (山鹿市 平山温泉)
晴れ渡った日には
手に取るように見える市街地が
今日は霧もやの中で
まるで遠くの大都会の一部のように
よそよそしく見えたりもする
  February 13, 2007
  (山鹿市 底原)
駅のホームから見る景色に
ヘッドセットから流れる
何十年ぶりに聞く音楽が重なる
そのころの辛い仕事の記憶も蘇るが
やがて胸に広がる今の幸福を味わう
  February 06, 2007
  (南熊本駅)
日差しのある時は
真冬といえどものどかな昼
墓地公園の高みにのんびり
横たわる涅槃仏の顔の向こうには
日々わずかづつ新幹線の高架が延びる
  January 30, 2007
  (宇土市 五色山公園)
見渡した風景の中に
細くて真っ直ぐなすじを見ると
もしや鉄道の廃線跡かと降りて行き
橋梁の銘板に残る鉄道会社名を
わざわざ確かめて満足したりする
  January 23, 2007
  (美里町 熊延鉄道旧砥用駅付近)
雲が低くたれこめた
真冬の昼前の街
さっきから響くエンジン音が
頭上に動いたような気がして
見上げると、飛行船だった
  January 16, 2007
  (宇城市 松橋上空)
見渡す限りの空をわける
風の切れ目の一直線が
ゆっくり南へ移動すると
天気図の記号の実物大の大きさが
見慣れた地形と共に実感できる
  January 09, 2007
  (宇土半島上空)
ふだんは気に留めていないが
日常生活があゆみを止める
正月休みなんぞに
視線の角度を変えてみると
結構な大自然の傍にいたことに気付く
  January 02, 2007
  (国道57 立野付近)
二千と六年という名の
今年も終わろうとしています
この人間の世界にもし
人生のような始めと終りがあるなら
この節目はどんな年頃なんだろう
  December 26, 2006
  (けやき通り)
鉛色の冬空の下
見渡す景色にも
モノトーンしか見えないのだが
地平線にアイラインを引くように
想像力で薄化粧することは出来る
  December 19, 2006
  (エコパーク水俣)
地図の上ではいかにも
鄙びた第三セクターの
線名にかわってしまったが
大編成の貨物列車の通過時間は
昔日の幹線鉄道がよみがえる
  December 12, 2006
  (肥薩おれんじ鉄道水俣付近)
天気が続いたあとに
曇りがちて雨も降り
気温が平年を上回っていたら
埋め合わせをするように
底冷えがしのびよる
  December 05, 2006
  (菊陽町 杉並木公園)
いつものように
秋がふかまり
いつものように
12月が近づく
街がほの赤く色づく
  November 28, 2006
  (平成2 くまなんスイング館)
秋や昔の秋ならぬ
もみじの錦を目にしても
青春は戻らず
わが身は疲労気味。
今ひとたびの夢はいずこに
  November 21, 2006
  (石原2 運動公園)
ながいながい人生の
なかばを越すころでも
心ときめいた日を
自由に思い起こせるし
想像力で遊んだりもできる
  November 14, 2006
  (合志市須屋)
思い出の中の少女は
いつも光の中にいて
ボクの悩みなど
つゆほども知らず
跳びはねているのがいい
  November 07, 2006
  (平成中央公園)
今日で十月が終わるのだが
また今日も最高気温25℃超の
いわゆる夏日だそうな
沖縄にでも居るつもりになろうかと
唐きび畑の道で考える
  October 31, 2006
  (大津町 大津)
晴れ渡った碧空に
突如飛来した政府専用機
熊本でどっかの国との
緊急首脳会談でもあるのかと
思ったが…ただの訓練だった
  October 24, 2006
  (熊本空港上空)
学校帰りの公園で
汗ばんでボールを投げる
半袖だから
素手で汗をぬぐう
五時半なのに日がしずむ
  October 17, 2006
  (馬渡1丁目)
八代の町は
送電線も多いけれど
なにより水路の多い町
水位の異なる水路が
縦横に隣接して走る
  October 10, 2006
  (八代市 西片町)
繁華街の裏手の通り
ブロック塀のかげに
不埒な通行人を見張るのか
看板の真下で睨む姿が
なかなか絵になっているよ
  October 03, 2006
  (県内某所)
高速道の橋脚を
たわわの稲穂が埋め尽くす
その実は秋の色に
熟れてかがやくが
海に湧く雲だけが夏のなごり
  September 26, 2006
  (南九州道 日奈久IC手前)
暑さもひときわだったけど
今年は冬もきびしいかも
熊本の町はごくゆるやかに
西に向かってひろがる
ときどき夕陽の美しい町
  September 19, 2006
  (本山町)
道端の草の穂が揺れて
足を止めて見た
日差しは暑いのだが
山と河と秋草を通って来た
風を浴びると心地よいのだ
  September 12, 2006
  (八代市 夕葉町)
急流球磨川も下りきり
おだやかに広がった前川から
そのまま対岸の天草まで
不知火の海をすべろうか
あてない旅の影をひいて
  September 05, 2006
  (八代 内港)
青少年たちよ
夏休みが終わるからといって
嘆くんじゃないよ
よくあじわってごらん
毎日学べる楽しさを
  August 29, 2006
  (熊本市 平成3)
オトナになった日の記念品を
梢の中ほどにぶらさげたまま
セミの本体は早くも
ひと夏の夢を見終えて
地面にころがっていたりする
  August 22, 2006
  (熊本市 楡木)
川沿いの県道の傍らに
きわだつ色を放って咲く花
周りに日陰のない場所に
八月の直射は厳しく
足を止め花に気付く者もすくない
  August 15, 2006
  (玉名市溝上)
八月の通勤電車は
夏休みの人数分すいている
のんびり見上げた車内吊りに
夏の遊びの誘いを受けて
金と暇のある我を夢想したりする
  August 08, 2006
  (JR九州 1430M列車内)
何十回も夏をすごした
夏の雲ひとつとっても
いろんな場面の
いろんな夏の日の思い出の
背景にあてはまるのだ
  August 01, 2006
  (玉名市 菊池川)
頭上も中空も
そして山々も大地も
長かった梅雨のせいで
これ以上含みきれないほど
水気をかかえている
  July 25, 2006
  (人吉市東間町)
オジサンが18のときに
青春18切符がもしあったら
今と違って長編成で
長距離を走る客車の普通列車が
沢山あったので楽しかったろう
  July 18, 2006
  (JR肥薩線 人吉駅)
テキスタイルのパターンのような
整列する稲の苗とコサギ
潤す水とその中に棲む
水中生物も含めて
活かして残したい風景
  July 11, 2006
  (玉名市 岱明町)
柳川から大牟田以北が
カササギの繁殖エリアの境目だと
これまでなんとなく思っていたのですが
その境目がじわじわと南下したのか
熊本県下の山鹿や玉名でカチャカチャ鳴いてます
  July 04, 2006
  (玉名市岱明町)
あまり語られることもないが
ネムの花がちょっと気になる
飾り物のような緋扇を
梢の上側に整列させて
風を選んで独り翔ぶ
  June 27, 2006
  (錦町 一武)
遠い少年の日に
希望を抱いて走り始めた
鉄路の左右あちこちで
いろんなものを見聞きしたけど
この先もまだ続いてるんだよね
  June 20, 2006
  (人吉市下城本町)
春と夏の境目を
梅雨前線がかく乱する
半袖は寒かったと思ったり
公園の子等が夏休みかと思ったり
季節を計りかねる吾が頭と体
  June 13, 2006
  (平成中央公園)
栗の花にであうと
奇妙な形に
踊り子の衣装を
妖しげな香りに
青春のいきれを想う
  June 06, 2006
  (御船町七滝)
雲が低くたちこめる
日常生活の上空を
どこから誰を運んできたのか
防災ヘリコプターが慌ただしく
病院の屋上へ降りてくる
  May 30, 2006
  (熊本赤十字病院)
見わたせば竹やぶが
奇妙な色を散らしている
ひょっとこれは竹の花?
よく見れば黄変しているのは葉で
麦秋ならぬ竹の秋というそうです
  May 23, 2006
  (西梶尾町)
五月のなかばで
湿った天気が続くので
このまま入梅なんてことに
もしもなったら
今年はどんな夏がくることやら
  May 16, 2006
  (徳王町)
川と緑の多い街を
ふるさとに持つことは
思い出のいろんな場面に
いろんな色の川と緑を
蘇らせることが出来ること
  May 09, 2006
  (長六橋上流)
ふだんより空いた道路を
いつもと逆に
郊外へとむかうと
休日の光を浴びた街は
思いがけない色で輝く
  May 02, 2006
  (国体道路 長嶺南4)
ハナミズキの道を
つつむ空気は
春のそよ風と
雨季の湿り気と
初夏の光の組み合わせ
  April 25, 2006
  (平成3丁目)
この都市の持つ
さまざまな風貌を
季節によって
天候によって変わる姿を
もっと知りたい
  April 18, 2006
  (神水本町 斉藤橋)
右に住宅
左には公園
真ん中の道路は
都心へのケヤキ並木
住むのに悪くない街だよね
  April 11, 2006
  (錦ヶ丘)
こんなに日本中の
其処かしこに
桜並木がふえて
今日何度目かの
花見をしながら通る
  April 04, 2006
  (平成さくら通り)
この公園のある場所に
昔日の剣豪が
本当に眠っているとしたら
何度目の桜を見て
この郷に何を思うかしら
  March 28, 2006
  (武蔵塚公園)
明るい日差しに向けて
新しい日々に向けて
それぞれの想いを
胸に秘めているのか
車の人よ列車の人よ
  March 21, 2006
  (菊陽町 豊肥本線)
グレートーンの 八王寺、九品寺遠景
冬雲がようやく消える
見渡す視界は
かすみが掛ってはいるが
彼方まで拡がる
  March 14, 2006
  (八王寺、九品寺遠景)
放射冷却で 御領7丁目
かじかんだ町を
春の色をふくんだ
陽光が少しずつ
暖めはじめる
  March 07, 2006
  (御領7丁目)
九州の二月は 南阿蘇村
枯れ草色がベースだが
晴れた日に目をこらせば
春の胎動が
地の底から伝わる
  February 28, 2006
  (南阿蘇村)
商店の軒先をかすめ 坪井4丁目熊本電鉄
民家の玄関を横切り
丸木の電柱から電気を受けて
この町の電鉄は
ゆっくりと走ります
  February 21, 2006
  (坪井4丁目)
日曜日の午後だった 安巳橋より白川画像
繁華街をいつか外れて
川向こうの裏町へ
そぞろ渡る頭上を一羽の鳩が
銀座橋へ突進したのだ
  February 14, 2006
  (安巳橋より)
産業道路のわきに 新屋敷1丁目
逓信病院の昔から
翼を拡げた建物が
マンション群の後ろ盾を得て
城壁の如くそびえる
  February 07, 2006
  (新屋敷1丁目)
寒気に曇った光の中を 龍田陳内4丁目
仕事場へむかう車たち
行く手にかすんだ街の姿に
テールランプが
希望の温もりを運ぶ
  January 31, 2006
  (龍田陳内4丁目)
透き通った風の中 渡鹿4丁目
産業道路を東へすすむ
警察学校前の
ゆるやかな坂をあがったら
道の先端は雪の阿蘇へ続いていた
  January 24, 2006
  (渡鹿4丁目)
冷たい風に 山鹿市 鹿本町
からだが凍えたら
見渡すけしきに
いろどりをつけて
音楽のベールをかけてみましょう
  January 17, 2006
  (山鹿市 鹿本町)
鉄道の跡 植木町 鹿本鉄道跡
学校の跡
世の中の
サイズが減ると
これからもっと増えるのか
  January 10, 2006
  (植木町 鹿本鉄道跡)
明るい道を 電車通り大甲橋
目指していたら
ふいに出た
陽光に充ちた
電車通り
  January 03, 2006
  (大甲橋)
部屋に戻って 水俣市街地からの落陽
窓のカーテンを
ひらくと
お疲れ様でしたと
イブニングサン
  December 27, 2005
  (水俣市)
あまくさの 新和町 大田尾
山路見おろす
果樹園の
パール柑ぬらす
オレンジレイン
  December 20, 2005
  (新和町 大田尾)
うつ伏せた九州の 高森町 国道325より阿蘇山
背骨のでっぱりのような
阿蘇の頂きにそって
北西の季節風が
粉ざとうをトッピングした
  December 13, 2005
  (高森町 国道325より)
時雨れた街の過ごし方 本渡市 亀川
絵になる港の景色をきめて
ブルースや歌謡曲を
頭の中でながしながら
待つ人の物語を考えます
  December 06, 2005
  (本渡市 亀川)
公園のベンチから 八代市合地公園
遠くの景色を見ていると
今じゃない過去や未来に
虚構を演じているような
白日夢に吸い込まれたりする
  November 29, 2005
  (八代市合地公園)
午前11時の陽を浴びて 水俣港
牛深からの高速船
蹴立てた波の船足ゆるめ
静かな港へ滑り込む
ぼちぼち棹を仕舞おうか
  November 22, 2005
  (水俣港)
晴れ渡った空の下 黒石原演習場
南西の方角から
遠くの景色がぼやけてくる
季節はずれの黄砂と聞いても
不透明なアジアの未来がよぎる
  November 15, 2005
  (黒石原演習場)
いろんなことに 南熊本駅前
出あったり
見聞きしてきたので
何に驚くということもないが
天気の良い朝はやっぱり嬉しい
  November 08, 2005
  (南熊本駅前)
どんなことに出会っても 西合志町みずき台
自分の中から
答えをみつけだして
これると思う
あとはいかに自信を持つかだ
  November 02, 2005
  (西合志町みずき台)
雨混じりの風に 平成2丁目
寒さを感じたときは
温泉のくつろぎを想像しよう
心の寂しさを感じたら
美味しい鍋物を想像しよう
  October 25, 2005
  (平成2丁目)
静かな裏通りの
ブロック塀の上で
欲張らずに
意地も張らずに
暮らしてるんだね
  October 18, 2005
  (熊本県内某所)
日本のはじの九州の 八代市高下東町
これ以上西はいよいよ海だと
そんな場所を球磨川の水は
静かに考え深げに
流れているような気がする
  October 11, 2005
  (八代市高下東町)
いつのまにか 馬渡1丁目 足原橋
傾くのが早くなった夕陽に
片側だけ照らされた街を
夕餉の肴を考えながら
ゆっくり家路にむかう
  October 04, 2005
  (馬渡1丁目 足原橋)
ゆっくりとゆっくりと 熊本市役所横断歩道
季節がうごいて
日陰とひなたの
人にとっての位置関係が
まさに逆転する瞬間です
  September 27, 2005
  (熊本市役所前)
干拓地に広がる 八代市 水島
はてしない水田の
緑と黄金色の中間に
呼応したかのように
秋へ移ろう空模様
  September 20, 2005
  (八代市 水島)
オレンジロードの両側に 天水町 小天
はるかにつづく
柑橘の枝に目をやると
色づく頃合を静かに待つ
濃緑色の果実の存在感が頼もしい
  September 13, 2005
  (天水町 小天)
満員の客と沿線のたくさんの人に ディーゼル機関車DE10型
見送られて走ったあそBOY
次の日からがらんとした客車を
同じ時間に黙って引っ張る
万能機関車DE10型もいずれは消えるのか
  September 06, 2005
  (南熊本、平成駅間)
充実した秋を 玉名市 菊池川河口
過ごすためには
夏のあいだに
からだとこころを
適度に疲労させるのがコツです
  August 30, 2005
  (玉名市 菊池川河口)
病気もしなかったし 県立図書館前
おいしいビールも飲んだし
親孝行もちょっとした
夏に思い残すことはなし
早めに読書の秋をはじめよう
  August 23, 2005
  (県立図書館前)
八月もなかばを過ぎて 本荘交差点
ゆっくりと
踵をかえす夏が
うしろ姿にはなったが
いまだしっかりと街をかかえる
  August 16, 2005
  (本荘交差点)
くだる くだる 球磨川 二股瀬付近
緊張して くだる
せまる水と岩を体に感じて
少しの危険も負いつつ
アクティブに くだる
  August 09, 2005
  (球磨川 二股瀬付近)
くだる くだる 球磨川 馬場付近
ゆっくりと くだる
熟練の船頭に任せて
隊列をくんで
のんびりと くだる
  August 02, 2005
  (球磨川 馬場付近)
ハグロトンボに案内されて 人吉市 下戸越町
林の径へと分け入ると
やがて水のせせらぐ音
眼前にひろがる幾多の緑は
心の奥の桃源郷へと我を誘う
  July 26, 2005
  (人吉市 下戸越町)
ふと出会った川に沿って 人吉市 球磨川
想い出をさかのぼると
遠い夏の日に
垣間見たような
懐かしい翠(みどり)の橋
  July 19, 2005
  (人吉市 球磨川)
この街の各家庭に 萩原町 西部ガス熊本工場
はりめぐらしたパイプを通して
昨日の悩みや、明日の憂いを
吸い上げてタンクに保管し、
一杯になったら空の彼方へ放出いたします
  July 12, 2005
  (萩原町 西部ガス熊本工場)
希望が見つけにくい世の中に 菊陽町津久礼 光の森
緑のやすらぎが貴重な時代に
青空と白雲の下に実現した
光と 森の 街
結構うまくいったネーミング
  July 05, 2005
  (菊陽町津久礼 光の森)
メインストリートが交差する 電車通り 水道町交差点
夏と梅雨が交差する
人の気持ちが交差する
殺到する矢印が
固有のベクトルを主張する街角
  June 28, 2005
  (電車通り 水道町交差点)
午まえの官庁街に 二の丸 合同庁舎前
吹く風はあおく
自転車の高校生は
中間試験帰りか
並ぶブラウスが押し寄せる
  June 21, 2005
  (二の丸 合同庁舎前)
緑が増し 菊池市 水源
気温が増し
湿度が増す
日本の六月の
趣きが深まる
  June 14, 2005
  (菊池市 水源)
日々の暮らしの中の
停滞しがちな部分に
できることならば
赤い特急列車を
臨時停車させてみたい
  June 07, 2005
  (豊肥本線 平成駅)
今はずっと座って待っている 菊池平野
眼の前の景色の中に
心を揺らすヒントが
ふいに現れはしないかと
日差しの中でただ信じている
  May 31, 2005
  (菊池平野)
いつだって楽しいことを 熊本駅前
考えようとするのだが
ほんとうに心の底から
ウキウキするような事の
断片をつかむのって難しい
  May 24, 2005
  (平成中央公園)
日曜の朝10時、駅前 熊本駅前
同じスタートラインを踏む
空港バス・市内電車・けいりんバス
それぞれの箱の中の乗客の
過ごす一日って違うよなあ
  May 17, 2005
  (熊本駅前)
西の空に日が傾いて 白川小磧橋下流
西の海に川はそそぐ
日はこの街を照らし
川はこの街をうるおす
橋にたたずみ西を眺める私
  May 10, 2005
  (白川小磧橋下流)
緑の世界を
自転車こいで
走り抜けていた
高校生の私と今の自分の
接点は今も、さがせばある筈
  May 03, 2005
  (宇城市小川町)
遠い遠いところから
続いてきているような
むかしむかしの頃から
つながっているような
ハナミズキの道が懐かしい
  April 26, 2005
  (西原2丁目)
寝起きをしている
暮らしの場に寄り添って
何もいわずに昼も夜も
流れつづける河よ
汲めども尽きぬ河よ
  April 19, 2005
  (渡鹿8丁目)
小枝のしとねに
産み落とした蒼いたまごを
ときにカラスと空中戦をしながら
まもり続けた君よ 遠く我も
雛の無事を祈って居るぞ
  April 12, 2005
  (山鹿市内某池)
模型鉄道のような
この街の駅の風景を
新しい日常の一部にする
新入生、新社会人に
ようこそそして幸おおかれと
  April 05, 2005
  (JR水前寺駅)
青空の下、誰かと腕を組み
丘をこえてみようか
それとも独りで
日がな一日
丘のてっぺんでぼーっとしてようか
  March 29, 2005
  (菊鹿町 宮原付近)
黒い機関車が
煙をはきながら
ゆっくりやって来ます
きっと春を引っぱってくる
疑念をどけて、信じます
  March 22, 2005
  (龍田弓削 出村付近)
都市の風景を
切り取ってみても
学生の目で見るのと
勤め人の目で見るのとでは
美しさも輝きも随分ちがう
  March 15, 2005
  (南熊本駅前)
地上に雲が下りてきた朝に
見晴らしのいい山に
のぼってみると
九州の地形もなかなか
水墨画の味わいさえ有るじゃないか
  March 08, 2005
  (菊池方面と阿蘇遠景)
雲がうごき光が変わる
年度が変わり人がうごく
寒さとあたたかさと
不安と期待感の
ないまぜになった三月
  March 01, 2005
  (東バイパス県庁入口)
二月の風景の中で
川の流れのそばに
葉のない枝を寒々とひろげる
おまえもやがて恵みの花を
たわわに咲かせるのか
  February 22, 2005
  (山鹿市 岩野川)
いつだって春は
突然やって来るのではなく
私達が日々の暮らしに
追われている瞬間も
春はゆっくり動き続けている
  February 15, 2005
  (武蔵塚公園の紅梅)
私とおなじ頃に生まれた
雨蛙色の電車が
独り渋谷をあとにして
九州の地方私鉄の枝線を
ゆっくり往き来する
  February 08, 2005
  (熊本電鉄 上熊本駅)
透き通った朝の空気に
低く鈍くただよう陽光
けやきの枝も沈黙し
緑なす群集のそぶりも見せぬ
きさらぎ 冬の街道
  February 01, 2005
  (大津町灰塚)
氷雨に濡れながらも
街はところどころに灯りをともし
静かに営みをつづける
その中に暖かさを見出せるとすれば
魂と呼び合った輝きだろうか
  January 25, 2005
  (JR熊本駅前)
あの丘のむこうに何があるのか
車に乗ってすぐに
行って見られる今の私と
丘のむこうにあるものを
夢想することの出来た少年時代と
  January 18, 2005
  (白川より 楠段丘)
モノトーンの冬の空の下で
地上の色も心なしか
あせて見える
こんな日には
どこか遠い処へ思いを馳せよう
  January 11, 2005
  (九品寺1丁目 白川教会北側)
年があけると
都市のあちこちで
おめでたい、おめでとうと
人々は言い交わし
寿ぐのはリセットした日付
  January 04, 2005
  (御領から帯山、水前寺方面)
冬の都市の空気は
おだやかにながれ
街の暮らしは今年も
ごくわずかの変化だが
感覚をとぎすまして見続けよう
  December 28, 2004
  (九品寺交差点)
朝のすきとおった空気も
やさしく斜めに差す光も
考えようによっては
道路や鉄道のつながりさえ
尽きることなく万人にひらかれている
  December 21, 2004
  (豊肥本線 武蔵塚駅)
毎年おなじように
混雑する12月の街の
整然と動く車の流れ
怒りや対立の空気の中で
市井の善意よ健やかなれ
  December 14, 2004
  (国道3号線 水道町交差点)
ことし幾度も襲った
台風の風にも耐えて
しがみついてようやく
紅葉した葉っぱたち
紅葉と雇用がだぶる晩秋の道
  December 07, 2004
  (菊陽町 杉並木街道)
想い出を見つめ
昨日に照れたり
地図をたどり
明日の道を考えたり
旅の窓に去来する思い
  November 30, 2004
  (二の丸駐車場 九州横断バス)
川の堤を自転車で通っていた頃
遠い道のりや向かい風を
苦にはしなかったが
豊かな川や風景の価値を
気にとめることもしなかった
  November 23, 2004
  (延岡市 五ヶ瀬川)
肥後の在所の村だった
小山の里に陽がさして
バイパスや高速のインターや
運動公園が次々にできて
山はしずかに冬を迎えます
  November 16, 2004
  (熊本ICそば神園山方面)
ジャケット羽織って家をでる
11月の熊本の街は
日陰でこそ秋だが
正面から陽を浴びると
小春にあらず、インディアンサマー
  November 09, 2004
  (花畑町 熊本城前電停)
言葉にならない気持ちを
残したり伝えたりするために
絵に描いたり、音を奏でたり
格闘する一日もあって良い
11月3日は文化の日
  November 02, 2004
  (大江2丁目 県立劇場前)
夕日を受けて
物悲しくなるよりも
つぎの日のことを考えよう
今年の残り日を数えるのでなく
来年のしあわせを考えよう
  October 26, 2004
  (白川 長六橋)
歩きつづけます
季節がまた変わろうとも
歩きつづけます
荒野の風にこずえが揺れても
靴ひもむすびて歩きます
  October 19, 2004
  (菊陽町 原水)
きっと自分でも
想像できないくらいの
チカラを秘めていたのに
ずっと気付かずに
ブレーキをかけていたのかもしれない
  October 12, 2004
  (豊肥本線 三里木、原水間)
あせってみたって
しかたないし
考え抜いた理屈が
正しいわけでもない
自然にわいた考えで、決めよう
  October 05, 2004
  (龍田9丁目付近)
碧空の下で
空気や雲と無関係に
回転しているような大地だが
どんなに暑くても
あちこちに秋を身にまとっている
  September 28, 2004
  (戸島町 熊本空港進入路)
今年は残暑も祭りも遅いから
冬が突然やって来るよ
そんな声にせきたてられて
あせってみたりしても
急げば汗をかくばかり
  September 21, 2004
  (熊本高森線 白山交差点)
山の向こうからきた
雲がすべるように流れ
頭上にかかると
山の付近では代わって
青空から陽が差すのがうれしい
  September 14, 2004
  (北バイパス 清水新地)
はるか南の海から
次々と押し寄せる
暗雲と突風は、またも
スーパーコンピュータの予想通り
九州へむかってマガッテクルノカ
  September 07, 2004
  (白山通り 南熊本交差点)
むかし小学生の頃
夏休みのあいだに引越しして
9月1日から転校したことがある
残暑の中どこかよそよそしい街に
ふと、そんな記憶がよみがえる
  August 31, 2004
  (出仲間1丁目 けやき通り)
北海道の学校が優勝した
甲子園の高校野球
日本の小さい女性が優勝した
マラソンの丘のオリンピック
一夜明けた街に季節の変わる風
  August 24, 2004
  (産業道路 本荘交差点)
盆休み、バカンス休暇
夏休み、家族旅行
笑って、食べて、汗をかいて
ぎっしり詰まった想いを乗せて
心なしか機関車も重い
  August 17, 2004
  (豊肥本線武蔵塚駅南)
8月の陽に焙られた
熱いコンクリートの都市も
夏休みの一日に訪れた
小学生にとっては
思い出に残る美しい街かもしれない
  August 10, 2004
  (本山・琴平付近)
上り坂をようやく越えて
ほっとしたら
また、上り坂
歩いている者だけが知る
ポテンシャルの負荷と価値
  August 03, 2004
  (合志町すずかけ台)
あまりにも夏らしく
暑すぎる日々に
涼をもとめ疲労回復をもとめ
経済活動は活発になり
好景気のおこぼれは我にありや
  July 27, 2004
  (流通団地)
ふと、通りに目をやると
冷房付き電車がゆっくりと
道の真ん中をすべって行く
蒸し暑い肉体を抜け出して
思いは電車と共に逃げ去る
  July 20, 2004
  (九品寺交差点)
この歳になると、まだ梅雨も明けず
小中学校の1学期も終わらず
もちろん甲子園の高校野球も
始まらないうちから
夏の終わりの憂いを想ったりもする
  July 13, 2004
  (渡鹿4丁目)
夏、熊本の歩行
荷物を持って汗をかいて
橋のたもとで通りをそれる
水をたたえた河に寄り添い
私は明るい道を選べる
  July 06, 2004
  (新屋敷2丁目)
夏への期待と
疲労のため息と
暑さと湿度のまざった
複雑でおだやかな風景が
この都市の周囲にひろがる
  June 29, 2004
  (熊本ICそば神園山方面)
青空もくつろぎ
浮雲もくつろぎ
山肌にところどころ
白っぽく光る
栗の花が風にそよぐ
  June 22, 2004
  (立田もえぎ台付近)
仕事の疲れを吹き飛ばす
緑の川風の中で
仲間と叫び合う
熊本の若者たちの
中身の濃い休日
  June 15, 2004
  (城南町 緑川)
人の営みは
なだらかに動き
巨きな樹木は
街道と鉄道に
影を渡しかける
  June 08, 2004
  (龍田町 弓削)
雨のめぐみは
尽きることなく
街々をうるおし
私もいつしか
みずびたし
  June 01, 2004
  (福岡市 天神)
あざやかな
場面を予感させる
木々のみどり、
一口にみどりと言っても
言い表せないような みどり
  May 24, 2004
  (宮内 藤崎台)
五月雨の気配の雲の列
潤いを秘めた風
車列の交差する道路
へばりつく地表は
圧倒的な濃緑色
  May 18, 2004
  (戸島4丁目)
気温が変わり
湿度が変わり
天気が、そして季節が
変わるように
人と心もいつしか変わります
  May 11, 2004
  (水前寺2丁目)
高圧電線と
家庭用配電線
幹線道路と
生活道路
そして目に見えない情報のライン
  May 04, 2004
  (菊陽町 みらい大橋北詰)
土地区画整理の
看板だけが立っていた
野原の中の県道が
人とお金と情報の行きかう
ストリートになる
  April 27, 2004
  (菊陽町 県道住吉熊本線)
青空と明るい陽射しを
楽しむ日々に
かれることなく
私たちの街を潤してくれる
ゆたかな川がある
  April 20, 2004
  (白川 泰平橋付近)
大地に寄れば
大地の恵み果てなく
通りすがりの
風景を賞でれば
我に生活の憂いなし
  April 13, 2004
  (上南部1丁目付近)
のどかに陽を受け
浮き立つ街を
四角く切り取り
心に刻みつつ
春は過ぎゆく
  April 06, 2004
  (清水町兎谷)
田園の残る住宅地へ
2両編成の普通電車が
運んで帰ったものは
それぞれの家族の
完結しかけた休日か
  March 30, 2004
  (龍田8丁目 豊肥本線)
眠った草木を揺り覚ます
容赦ない春
引きかえせない
待ったなしの春
時々たちどまりながら進む季節
  March 23, 2004
  (壺川1丁目 坪井川)
確定申告の会場を出ると
コブシだかモクレンだか
枝じゅうハンカチのように
花開いているのを見たが
なんだか早すぎる気もする
  March 16, 2004
  (花畑町 産文会館前)
光多い彼方へすすむ
午後のさすらい
暗闇を越えて
めぐり逢いたい
まだ見ぬひとびと
  March 09, 2004
  (坪井川緑地付近)
三月の陽射しが
街を照らし
街に追い立てられ
車を走らせる
私とこの街の暮らし
  March. 02, 2004
  (新町1丁目)
旅の道に想うのは
かいま見る人々の
土に根ざした生活と
山や風や木々の安息
私を待つ人の居ることの喜び
  February 24, 2004
  (合志町 栄)
ふとこぼれだした
断片の風景に
音こそ付いてはいないが
風の香りは
たしかに甦る
  February 17, 2004
  (手取本町 市役所前)
自転車に乗って街へ出る
今日は景色が透き通っている
心の中で音楽を鳴らす
流れる景色といっしょに
短編映画がひとつ出来た
  February 10, 2004
  (石原町 運動公園)
枯れ枝を渡る風は
いまだつめたく
地は霜でぬかるむ、
春にこの身を寄せようと
頃合はかって踏み出す一歩
  February 03, 2004
  (菊陽町 古閑原)
木枯らしの町にときどき
陽は差すけれどすぐにかげり
株価はやや上がっても心もとなく
兵はバビロンへ飛び行く
心ひそかに我ただ春をまつ
  January 27, 2004
  (菊陽町 新山・光の森)
冬時雨に濡れた
軌道敷の石畳に
前照灯の光はねかえり
しばし叙情に浸る
カローラバンの運転席
  January 20, 2004
  (熊本市 蔚山町電停)
成人の日も過ぎれば、
昔で言えば「薮入り」。
流通業サービス業そのほか
年末年始も奉公に勤めた皆様
お疲れ様、どうぞひといき入れて下さい
  January 13, 2004
  (熊本市河内町より宇土方面)
夜が明けたら一番早い
飛行機のチケットを買って
飛び立ちます
まっすぐに前をみあげて
求めるものをさがしに行きます
  January 06, 2004
  (熊本空港)
ふるさとへつづく道は
はじめは川に沿い
やがて曲がりながら坂道になります
九州の山に見守られながら
今年もふるさとへ向かいます
  December 30, 2003
  (阿蘇 高森外輪山)
木枯らしに吹かれて
街路樹が色づき
やがて街が色づきます
ねがうのは人のこころも
色づいてあたたかくなること
  December 23, 2003
  (帯山4丁目 再春館ビル)
特急電車よ
私の愛する娘を乗せた
博多発15時25分の
ありあけ29号よ
急いでしっかり着いておくれ
  December 16, 2003
  (鹿児島本線 西里駅付近)
コートをはおって出かけよう
市役所指定の透明袋に
悩み事はぜんぶ詰め込んで
でがけに出したら、あとは真っすぐ
陽の当たる道路へ急ぐのさ
  December 09, 2003
  (渡鹿4丁目 産業道路)
はなやかな中央競馬の
重賞競走にくらべると
陽の傾きがやや深い
この街の競輪場のメインレース
我と似た選手ゴールで、ハンドル投げる
  December 02, 2003
  (水前寺5丁目 熊本競輪場)
実は本を捜すのは第一の目的じゃなかった
急に冷え込んだ午後
何か暖かいものが欲しくなって
でも、コーヒー屋の前を素通りして
ここに来たのは君にあえるような気がしたから
  November 25, 2003
  (出水2丁目 県立図書館)
べつに用があって来た訳じゃない
ただなるべく高台の、
遠くの見渡せる場所へ
のぼってみたかったのだが、
思ったほど見通せる訳じゃない
  November 18, 2003
  (西合志町 黒石みずき台)
街路樹の見渡せる場所に
曇り空とジャズの似合う喫茶店
昔はよく行ったけれど
珈琲の香りの中に物思うこと
昔はよくあったけれど
  November 11, 2003
  (上熊本1丁目)
シューギインの選挙だそうだ
熊本のシューギインの先生たちよ
悪者にたぶらかされないでくれ
彼らの足は悪にはしり、血を流そうと急いでいる。
・・まことの知恵がちまたで叫びます
  November 04, 2003
  (渡鹿1丁目*熊本1区)
何もなかった道のまわりに
うどん屋ができ、コンビニができ、
ユニクロが建ち、夢庵が建ち、
こちら側には郵便局のビル
道の向こう側には夢の街がそびえ始めています
  October 28, 2003
  (菊陽町 ゆめタウン光の森
建築現場と大窪交差点))
草原がいつしか
コスモスの原となり
季節が深まる俵山
南阿蘇へ急ぐも良し
すすきの山道へさ迷うも良し
  October 21, 2003
  (西原村 県道28萌の里)
夕日を背に受け
家路をいそげば
クーラーもヒーターも要らない季節
カーラジオがささやきます
ゆっくりお帰りステーション
  October 14, 2003
      (合志町幾久富)
秋の陽を浴びながら
歩けば 湖畔の風ここち良く
草も水鳥も山も そしてさらには
ボートもバスも自転車さえも
心の景色をみたしてくれます
  October 07, 2003
      (上江津湖と金峰山)

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