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OYAJI NO UTA

by 安藤弘志

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オヤジのうた曲名リスト


VOL.531 * 2008/06/25


「月夜の小舟」 ビリー・ホリデイ

熊本は今年の梅雨もしっかりと雨の降る毎日です。昨夜は午後八時から、
ビリー・ホリデイの伝記的ドキュメンタリーを楽しみにTVの前に座ったのですが、
番組の中ほどで突然画面が真っ暗になり、片隅に「BS-3ch 放送されていません」
との表示になりました。NHKともあろうに放送事故か、と一瞬思いましたが、やがて
ものすごい雨が降り出して厚雲が衛星電波を遮っているのだとわかりました。
同じBSでもアナログだと、少しずつ画面にノイズが入るのですが、デジタルでは
映るか映らないかのどちらかで、はっきりしています。直前に演奏されたのが
カーメン・ロンバード作の表題曲、ミディアムテンポの明るい小唄です。
このページの一番下でも偶然同じ内容の表現について書きましたが、日本と
違ってさわやかな季節の六月を例えに♪A soft breeze on a June night, and You
と、自分が夢見る理想の組み合わせのひとつとして唄われています。



VOL.530 * 2008/06/12


「ディベート苦手の党首なんて」

昨日の国会、もともとは午後三時から党首討論が行なわれることになっていました。
ところが民主党はそれに合わせるかのように、参議院で福田総理の問責決議案を
提出、可決させました。タイミングによっては内閣総辞職へのきっかけとなりうる
問責決議も、今回はあっさり不発に終わるようです。何より情けないのは、小沢
民主党党首がディベートが苦手で、それから逃げようとしている様子が窺えることです。
党首討論の中で、「総理の考えはここが決定的に間違っている」と核心を指摘した上で、
言い訳でごまかそうとする総理に対して、時間切れ間際に「問責出しますからね」っと
言い放って終わる。…政権を狙う野党党首ならこれぐらいのことは出来て欲しい。
役所の利権構造に対する最大のインパクトとしての政権交代。期待が揺らいでいます。

 


VOL.529 * 2008/06/03


「いてまえの血統」

プロ野球のセパ交流戦がたけなわです。NPBのサイトにはセ・パそれぞれの勝星比較が
出ていますが昨日まででパの34勝26敗。今日の五試合はすべてパリーグチームが勝ちそう
ですので39対26まで開きそうですね。なんとなく野球の面白さが煮えたぎってきているような
気がしているのは、私だけでしょうか。地上波TVの中継が有ろうと無かろうと12球団が、
それぞれの球場で、それぞれの個性で戦っている様子が、多様なメディアで伝わってきます。
今日注目したいのはオリックスバファローズ。近鉄いてまえ打線の血を引く大石監督代行が、
静岡商vs東海大相模で同期の監督とがっぷり四つの後、突き放して勝ちました。
この試合で、阪急・オリックス通算の勝星がパリーグ球団初の4500勝に到達したそうで、
お祝い申し上げる次第です。ただしこの通算が今ひとつしっくりこないのは、現オリックスの
首脳陣の中で阪急色を残しているのが、住友チーフコーチぐらいしか居ないせいでしょうか。



「現役時代の大石・原」 1983年春季キャンプにて

VOL.528 * 2008/05/30


「サンダーバードになれなくて」

中国の大地震被害への救援として、テントなどの物資を自衛隊機を使って輸送する
ことを両国関係者が検討したと報じられましたが、結局実現しないそうです。
最大の障害は、中国人民の中に残る「日本の軍隊」へのアレルギーでしょうか。
以前オジサンが提言したように、自衛隊をサンダーバード=国際救助隊に改組して
いたならば、こんな問題は起きなかったでしょうに。現実問題として日本に限らず
世界中の先進国と呼ばれる国の軍隊もサンダーバードとして自国内外の困っている
人々を助ける任務に特化したとしても何ら問題は無いと私は密かに思っています。
それが出来ない原因は、各国軍関係者共通のミリタリー愛好癖と、それを後方から
強力にサポートする兵器産業、軍需産業だと思っています。日中の軍事関係者同士も
ときには将官レベルの交流などもしているようですが、「友好」が進みすぎると、
お互いに仮想敵国の脅威を自らの存在意義としている身としては、本能的にマズイと
思ってしまうのでしょう。平和への「抵抗勢力」は中々しぶといのです。


VOL.527 * 2008/05/16


「握 手」 大竹しのぶ

1975年に大竹しのぶが、NHK朝の連ドラ「水色の時」のヒロインとして、じわじわと
人気を集めだした頃。彼女を歌手とした一枚のLPレコードが作られました。
阿久悠が全曲の作詞を担当、作曲に大野克夫、編曲に細野晴臣が一部加わるなど
豪華なバックアップ。レコード会社によると「歌唱はフレッシュで若々しく…阿久悠の
ペンによるせつな過ぎる詞にうまくハマっている。」とありますが、当時は山口百恵
はじめとする実力派女性アイドル全盛期で、正直言ってヘタっぽい印象の彼女の歌は、
ほとんど評判になりませんでした。今日、なにげなく昔のカセットテープで聞き返してみて、
あの頃のハイティーンの女性に備わっていた「矜持」のようなものを感じて温かい気持に
浸っております。表題曲は、故郷を旅立つ恋人との別れの握手の記憶を語った歌ですが
♪今のままでいい 汚れるなよ 素直でいて欲しいよ 石鹸の匂いがするままでいてくれ…
短い時間の握手でそんなことを感じ取る、昭和の少女の健気さがよみがえります。
このアルバム「白鳥を見たことがありますか」は、現在ではとても入手困難かと思いきや、
この四月に紙ジャケ、ポートレイトも再現したCD化発売されたそうで、ご紹介する次第。
オマケに「電話帳ぱらっぱらっ」の電電公社CMソングもついてるようです。


VOL.526 * 2008/05/05


こころつないで」 渡辺貞夫・Share the World少年少女合唱団

去年の正月から延々と続いていた「熊本城築城400年祭」もいよいよ、この連休で
大団円とのことで、まずはおめでとうございます。様々な行事に一度もまともに
参加してこなかったので、今日二の丸広場で行なわれたコンサートにだけは混ざってこようと
出かけました。オジサンにとっては1978年「カリフォルニアシャワー」以来のナベサダです。
国際博覧会協会がらみの曲などが、アマチュアグループとのコラボで演奏される部分には、
たいした期待は無かったのですが、よかった、脱帽、まいりました。
素朴な四拍子と、16ビートの対比。合唱曲的旋律と、ブルーノートの不思議な絡みあい。
雨上がりの休日の午後に楠木を渡る風に吹かれながら、音に身をもたせかければ、
気持いいったらありません。ギル・エバンスがジャズと管弦楽を対比させたように、
ナベサダは意図的にジャズと、少年少女合唱団・器楽団をマッチングさせて、
素敵な世界を創っています。熊本朝日放送で24日、ほか九州の朝日系とUMKでも
このライブの演奏を収録した特別番組がありそうですので、注目をおすすめします。




コンサート直後の会場
(舞台後方は熊本城天守閣)


VOL.525 * 2008/05/01


「ガソリンの恨み」

いやー大型連休山場を前に、まさかと思われていたガソリン税再値上げの議決を、
自民党・公明党の衆議院議員の方々はやっちゃってくれましたねぇ。3年前の秋に、
「小泉チルドレン」を擁して獲得した三分の二の議席を使ってホントやりたい放題
の数々。民主主義のタイムラグに対して、主権者の我々は指をくわえて我慢するしか
ないんでしょうか。なんか行動に参加出来るかもと、「ガソリン 抗議デモ」で
ググッてみたらトップは以前ネパールで、政府によるガソリン価格25%値上げに対して
政治家と市民が抗議デモをしたという記事でした。そういえばミャンマーで坊さん達が
軍事政権に対して蜂起して、日本人カメラマン射殺事件まで起きた反政府デモの
きっかけもガソリン価格の大幅引上げが原因でした。これらに較べて日本人が
冷静さと、我慢強さを保っているのは悪いことではないでしょう。でも、忘れないように
しなくちゃならないのは、彼らが「粛々と」議決したように、私たちもその機会が
訪れたら、議決に賛成した議員たちを「粛々と」落選させなければなりません。


VOL.524 * 2008/04/24


「自衛隊員の生きがい」

北海道の未成年の自衛官が二人、休暇中に無断で鹿児島まで来て、一人が
タクシー運転手を刺殺する事件を起こし、もう一人は行方不明のままのようです。
自衛隊といえば、イージス艦の漁船衝突事故の記憶も新しく、熊本でも三十代の
自衛官二人が集団強姦未遂容疑で逮捕されたり、全部ではないのでしょうが、
士気の低下や精神的な荒廃の広がりを感じさせます。先日、石破防衛大臣が
新任自衛隊員への訓示の中で、「日々自分は、国家のために何が出来たか
自問せよ」という意味のことを言ったと記憶しますが、ちょっと酷な気がします。
本当は国民のためと言って欲しかったのですがそれは置いといて、役に立てる
ことを実感できるのは災害救助や援助活動だけじゃないでしょうか。願わくは、
彼らに武器を置いてもらって、世界的な穀物不足に対応した、休耕田での
援助・備蓄米の耕作、温暖化対策のための森林間伐に従事してもらうことを
検討していただきたい。自民党政権が無理なら民主党の「政権構想」ででもと、
夢想しております。━彼らはその剣を鋤の刃に…打ち変えねばならなくなる。
国は国に向かって剣を挙げず、彼らはもはや戦いを学ばない。(イザヤ書2章4節)


VOL.523 * 2008/04/20


「ハードバージ」

桜前線というものが昔はシンプルに、南西から北東へ流れていました。だから関西の
桜花賞で満開の桜が、一週間後の皐月賞の時ちょうど関東で満開になったことも
多々ありました。30年前の第37回「皐月賞」当日4月17日の中山競馬場を中継する
TV画面にも花盛りの桜が映ったと記憶します。大阪のアパートで観戦する私の手許には、
ハードバージという離れた八番人気の関西馬の単・複・連八千円分の馬券がありました。
当時は春闘時期ざらにあった私鉄ストのあおりで前日の阪神競馬が中止になり、夜の
「競馬ダイジェスト」の時間に皐月賞出走馬の追切調教の映像が一頭ずつ放映されました。
中で3番の小柄な栗毛馬が全身バネの如くはずんで駆け抜けるのが印象に残ったのです。
迷わず軸馬を決断し、連勝馬券の相手も次に映った4番のデカイ黒馬に決めました。
ハードバージの祖父は、当時全盛の種牡馬テスコボーイと同じ、騎手はこれまた全盛の
福永洋一で、彼は一週前の桜花賞も勝った直後でしたが不思議と人気になりませんでした。
ゴール前、3番は調教同様の脚色で馬群を抜け出し先頭、16番と逃げ争っていた4番が
アタマ差残って駆け抜けたとき、TVの前で「やったあ」と叫んだかもしれません。
配当額が報じられ二十万を越す払戻金を計算する手がやたらと震えたことは今でも
はっきり覚えています。今は懐かしい春の日の夢の一日は友と飲み明かして過ぎました。


VOL.522 * 2008/04/13


「オリンピア」

一昔前までの航空時刻表の機種欄にはよく”O”という略号が入っていました。
Oは、OLYMPIAの略号で国産小型旅客機YS−11につけられた愛称でした。
なぜこの名になったかといえば、1964年の東京オリンピック直前に運行開始して、
日本国内での聖火輸送にも一役買ったからです。(一般路線就航は翌年から)
当時小学生だった私は、学校から引率されて500mほど離れた街道へ聖火リレー
見物に出かけた記憶があります。きれいなオレンジ色の炎が印象的でした。
今年の北京オリンピックのための、世界各地の聖火リレーがチベット人権問題等の
プロパガンダに「活用」されて混乱していると報じられています。44年前の日本が
今の中国の立場だったのですが、聖火は東南アジア、台湾、琉球と、戦時中に
深く関わった地域を混乱無く通過し、平和の回復を印象付ける役割を果たしたようです。
中国政府は、この違いがなぜ生じているのか真摯に反省すべき時でしょう。
オリンピックという一大事は、いわば書き込み自由の掲示板を開くようなものですね。
「荒し」に対してムキになると、逆に注目を集めて「炎上」しかねない所が怖いです。


VOL.521 * 2008/04/06


「渚にて」 いしだあゆみ

桜満開の日曜日、熊本市内は花曇りです。ときどき陽は差しても、空の色の
基調は碧空ではなく乳白色に覆われています。桜をからめた風景写真のスナップ紀行
などをもくろんでいた方にはお気の毒様です。野外で花見の宴会をしたとしても、
ちょっと肌寒いせいで長居はしたくない気分でしょう。こんな日に一番気持ちよいのは、
家の中で、花の見える窓の前に陣取り、昔の歌謡曲を聴きながら時々、程よく温めた
日本酒などを体の中に送り込んで過ごす。いかがでしょうか。表題曲は1973年の
阿久悠:作詞、中村泰士:作曲によるアンニュイな午後にふさわしい一品です。
出だしの♪傷ついーて しにそうな 鴎が一羽…から、♪女かーら男へと まことが
通い…のサビまで一貫して、三連符をゆったりと暖かく唄う彼女独特の歌唱で、
聴く者はなごまされます。♪いつの日も そうだった くりかえし そうだった。


VOL.520 * 2008/03/31


「年度変わり雑感」

年度変わりの4月1日が火曜日のため、TVラジオの番組などは今日の月曜日から
編成替えになってるんですね。朝のNHK-BS、連ドラのアンコール放送もなくなったし、
習慣的だった私のTV視聴パターンもここらで変更しましょうか。新連ドラの「瞳」は、
どうでもよさそうですけど、「ちりとてちん」や「てるてる家族」クラスの私好み度の番組が
始まったら、また見てしまうかも知れません。新年度といえば、今年はガソリン税を
始めとする道路特定財源暫定税率切れがいよいよ明日からです。マスコミでは、
消費者が給油を我慢する話がやたらと目立ちます。私は気持に余裕を持って新年度を
迎えたかったので、あえて昨日\146/ℓで満タンにいたしました。(ヤッパヒネクレモン)
ところで、先ほどフジTV系「とくダネ!」であったコメントが秀逸だったので紹介します。
━イラク特措法が切れて海上給油が出来なくなっても、日銀総裁の任期が切れて
空白が生じても、結局何ほどのことも無かったじゃないか。政府が国民に対して、
「大変なことになる」と言っても、国民はもう動じないんじゃないですか━
4月になったらひょっとして、これ見よがしに穴の開いた舗装が放置されたり、照明が
切れたままのトンネルに出会うかもしれません。そんな時はうろたえずに尋ねましょう。
役人・議員の視察旅行などムダ金を全廃したうえでの結果なのですかと。


VOL.519 * 2008/03/28


「うたへ、君が代」

文科省が本日付で告示する新学習指導要領の中に、小学音楽で「君が代」を、
「いずれの学年においても指導する」から、「歌えるように指導する」へと修正したそうな。
小泉政権時代に、道路族など「守旧派」批判で得た衆議院議席が、廻りまわって
安倍政権下での教育基本法改悪からここへと繋がっているんですね。それにつけても、
強制されるのが避けられないのだったら、「国歌が君が代で良かった」とつくづく思います。
日本人なら国歌を愛して歌うのが当たり前と主張する方々にとっても、あの歌ほど
堂々と威勢よく歌わせるのが困難な歌はないのじゃないでしょうか。
もしも「軍艦マーチ」や、「月月火水木金金」が国歌だったらと思うとぞっとします。
アンタッチャブルな「君」の存在ゆえに保守派が自縄自縛になっている今の情況は、
国歌を強制されたくない私らにとっては幸運かもしれません。中途半端な改革派政権で
新しい国歌とか、新しい憲法なんて論議が勝手に進むよりは、不安が少ないのも事実です。


VOL.518 * 2008/03/21


「ハロー・グッバイ」 ビートルズ

日本の中央銀行トップが空席になった根本原因が何かについて、私もよくわかりません。
ただ、この問題に関する福田総理の発言を聞いていて、何かを連想しかかったのです。、
その何かが判然としないまま過ぎていたのですが、TV番組の見たいものが無くて
オンデマンドビデオ番組からポール・マッカートニーライブを選んで見ているうちに、
それが何だったか解りました。福田さんは確か70歳を過ぎた年齢で、いわゆるビートルズ
世代とは少し上に年齢がずれているような気がするのですが、日銀総裁問題に関する
彼の発言を言い換えれば、まさしくビートルズの表題曲とぴったり符合するのです。
♪You say yes, I say no.…You say goodbye and I say hello…I don't know why
you say goodbye, I say hello. 「民主党がなぜ反対するのか解りませんねえ」
一説には、ドルの急速な価値下落をめぐって、アメリカからの、ドル買い介入とか米国債
買い支えなどの理不尽な要請に対して、中央銀行トップの不在を言い訳にして
うまくやり過ごそうという、福田さんの深慮遠謀によるものではないかといわれています。
それはさておき、ビートルズの音楽が今でも世界中のオジサン世代の共通語として
通用するのは確かな事実です。偏狭なナショナリズムの対極としての
”All You Need Is Love意識”を根底に置いた外交、夢見るのは、甘いですかねえ。



VOL.517 * 2008/03/18


「ド・ラ・ム」 三原順子

乾燥した冬から、暖かさと湿度の増す春へと交代するこの時期、”ビールと歌謡曲の
ひととき”への欲求も頭をもたげてきますね。今夜は1980年の三原順子第2弾ヒットを
思い出しました。今はもっぱら女優・三原じゅん子として活躍する彼女も、この頃は
引退した山口百恵の後継者と目されるアイドル歌手の中で異彩を放っていたのでした。
第1弾「セクシー・ナイト」と同じく作詞:亜蘭知子、作曲:長戸大幸コンビの作です。
リズミカルな緊張感のあるメロディライン、特にサビの中の山場、♪あんなにもーえた
楽しいひーびが くずれてゆく・なみだになる・おしよせてくる…たたみかけておいて、
♪ドラムのように ドラムのように。なんとも気持のよいドライブ感がこの頃の彼女の
持ち味でしたね。ところで今回は、60年代の類似曲まで久しぶりに思い出しました。
ナンシー・シナトラハル・ブレインの「ドラマー・マン」。ありましたねえ。


VOL.516 * 2008/03/04


「風の街」 カズン

夜行列車が消えて行くことについては以前にも書きましたが。ついにあと十日で、
九州と関西を結ぶ夜行列車が全滅ですね。ブルートレイン「なは」「あかつき」号は、
役目を終える寸前に、懐かしさと珍しさで俄かに盛り返した人気の中を静かに
消え去ろうとしています。廃止の原因は、低価格な夜行高速バスに客が流れた
せいでしょうか。もうひとつ人気の無かった理由は、車窓の魅力に乏しいことも
挙げられると思います。完全に日が暮れてから発車して、朝早くに終点に着くため、
汽車旅の魅力である薄暮に色の変る風景をぼんやり眺める楽しみが無かったのです。
かといって、早い時間に始発するようにしたら、同じ頃出る新幹線のほうは、
その日のうちに着いてしまう訳で、やはりちょっとマズイのでしょうね。
表題曲はNHK-BSの鉄道紀行シリーズ第一作のテーマですが、夕暮れの
「車窓シネマ」をひとり鑑賞しながら、この曲を聴いて、涙を流してみたいものです。



JRポスター 関口知宏「車窓シネマ、上映中。」
(南熊本駅跨線橋にて)


VOL.515 * 2008/02/23


「野球小僧」 灰田勝彦

いよいよ今日からプロ野球のオープン戦開始ですね。今年はオリンピックの
関係もあって、公式戦の開始も早く、パリーグは来月の20日からとのことです。
20日は木曜で春分の日の祝日。そのせいで開幕の三連戦は、木・土・日と、
中一日の休みを挟んだ珍しい日程が組まれていることを、さっき初めて知りました。
ところで、以前から考えていたのですが、「君が代」に代わる日本国歌を捜すことと、
大リーグの「野球場へ連れてって」に代わる日本プロ野球ファンの愛唱歌を捜すことが、
オジサンの密かな望みでした。日本の場合7回は、風船飛ばし絡みのセレモニーが徐々に
拡がってはいますが、大リーグのセブンスイニングストレッチのように、敵味方のファンが
しばし邪念を捨て、童心に返りながら合唱できる歌もあったらいいなと思いませんか。
表題曲は昭和二十年代のナツメロですが、明るくて暖かみのある傑作です。ぜひ、
NPB公式ソングとしてアレンジを工夫した上で、5回のグラウンド整備インターバルにでも
流してみたら素敵だなと思いついた次第です。関係各位の皆様、御一考をお願いします。


VOL.514 * 2008/02/19


雨乞い源兵衛」 少佐田定雄:作

今年の冬は、ここ数年でも稀なほど寒い日が続いております。雪の元日以来、
2月のなかばまで、ほぼ毎日寒気を感じない日はなく、ストーブの灯油のなくなる
ペースの速さをつい、ぼやいてしまうこの頃です。こう寒いと巷で大騒ぎのあれ、
『地球温暖化』さえも少々疑いたくなるのがヒネクレ者の悪い性分です。
世の中の論調がすべて温暖化を前提とした物言いになりがちですけど、本当に
データと理論の裏づけを持った発言者はどれほど居るのか。CO2濃度よりも、
太陽活動の変化のほうが影響ははるかに大きく、今後それが寒冷化のほうに
向く可能性もあるとか。私ももっと勉強してからじゃないと、解らないのですが。
ともあれ、落語をひとつ思い起こしました。表題は、桂枝雀の得意とした新作です。
何十日もの大日照りに困った農民が源兵衛に雨乞いを頼んだところ、運よく
雨が降ったのですが、今度はそれが十日も降り止まない。異常気象の両極端を
題材にしたはなしです。枝雀さんはマクラで、地球の何十億年の歴史から
説き起こし、人間の存在期間の短さに較べて、お天気のほうは、太古からの
プロ、熟練工、━ですから、人間がお天気をなんとかするどころか当てることすら
できないのでございます━と、こんな風に前置きして話し始めていました。

 


VOL.513 * 2008/02/14


「64歳になっても」 ビートルズ

1967年のアルバム「サージェントペパーズ…」を聴いたのは小学校6年生だった筈です。
私はまるで、極彩色の不思議の国に迷い込んだ少年でした。一曲一曲に印象は
持てても、言葉で表現する能力は及ばず、ジャケット写真のミリタリールックや、
足許に置かれた「福助」の人形について語るしかなかったようです。そんな中で、
表題曲 When I'm Sixty-four は、子供心にも訴えかける曲調で、すぐ覚えられました。
調べてみたらポール・マッカートニーが64歳になったのは去年のことのようで、いささか
タイムリーさには欠けますが、歌詞の中に「ずっと経って、髪の毛が薄くなっても
ヴァレンタインの贈り物をおくってくれるかい?」のくだりがあって本日とりあげました。
若い頃は漠然と、64歳くらいまで生きられりゃ、まあいいかと思ってましたが、
見聴きしたいもの、読みたいもの、行きたいとこ等々それまでに満足しきれそうにもなく、
連れ合いに嫌われない程度にしぶとく生きることを目指すとしましょうか。
♪Will you still need me, Will you still feed me, When I'm sixty-four

 


VOL.512 * 2008/02/07


「日本の労働時間を考えた」

考えてみたら去年の今頃もこのことに触れているのですが、チェーンストア店長の
労働時間の問題。先日はマックの店長の起こした残業代不払いに対する訴訟で、
現場店長に与えられている裁量や報酬からすれば、不払いの根拠とする管理職の
名目は会社側の都合による名ばかりのものであるとの判断がくだされました。
店の業務維持のため早朝から深夜まで働いた原告に対し、「過重労働は会社が
命じたものではなく、店長の管理能力の問題」とした会社側の姿勢がとりあえずは
退けられました。カール・マルクスが19世紀に「資本論」で述べた言葉━資本(家)は、
労働者の健康や寿命には、社会によって強制されない限り顧慮を払わないのである。
肉体的および精神的な萎縮や早死にや過度の責め苦についての苦情に対しては、
資本家はつぎのように答える。これらのことが、我々の楽しみ(利潤)を増やすのに、
どうして我々が苦にしなければならないのかと。━ 創業数百年の老舗企業ではなく、
時代の先端を行く小売業の経営姿勢にこの言葉が当てはまってしまうのが悲しいです。
パート・バイトを主力にし、数少ない正社員を超長時間労働させなければ利益が
出ないほど日本の労働者の生産性は低いのでしょうか。マックやユニクロの商品は、
確かに安いけど、安いものしか買えない消費者を生み出したのは誰でしょう?
貧乏暇なしの客と店員から遥かに離れた場所で、日本の富は廻っているようです。


VOL.511 * 2008/01/22


「道路のお金を考えた」

道路特定財源の暫定税率の期限到来に関して、今日は各都道府県ごとに
税収がいくら減るかの試算が出て、地方の政治家があちこちで大変だ、大変だと
声を上げているようです。熊本県でも年間147億円の減収とマスコミが報じてます。
これは一体どれくらいのもんなのかピンとこないので、漠然と不安を感じます。そこで、
調べてみたら県の土木費の総額が1,230億円くらい。それが12%ほど減るんですね。
物価高騰で家計をきりつめる我々の感覚なら、普通に我慢してもらいたい程度です。
もし、三月で暫定税率が終わると、ガソリン25円/ℓだけでなく、軽油が17円/ℓ下がります。
トラック輸送費は諸物価に広く含まれるものですから、消費者経済には好影響でしょう。
直接的には、車検時の自動車重量税が40%ほど安くなりそうなのが嬉しいですね。
それにしても自民党のエライさん方の、「ガソリン値下げしたら環境に悪影響だから
下げられない」という言い草にはあきれますね。だったらそのお金を、道路には
一切まわさず、自然エネルギーの開発や、鉄道輸送の拡充などに充ててもらいましょう。
再生紙でゴマカシをした製紙会社にもいえますが、「環境」を看板にして都合よく
自分たちの利益へ方向付けをたくらむ輩は、気をつけなければなりませんね。



VOL.510 * 2008/01/12


「活字に誘惑します」

年明け十日の間に、「新風舎」「草思社」と、出版社の経営破綻が相次いでいます。
書籍の売れ行きについては、ホームランと三振の両極化が顕著で、以前数多くあった
シングルヒットクラスの売れ方をする本の点数が激減しているそうです。先日、電車の中で
ふと見渡した範囲に、本を読んでいる人は二人、携帯電話を見ている人は五人、数えられ
ました。ひょっとしたら五人の中には、いわゆる「ケータイ小説」を読んでいる人も混じって
いたかもしれませんが。活字離れという点では、出版社にとって厳しい情況の中、各社とも
読者の知的関心に訴えかけようと毎月工夫を凝らした新刊本を発行しています。
それらの中には、少なくともこの先五年は書店の棚に常備されるべき、興味深い良書も
多々見受けられるのですが、話題のベストセラー以外の本は次の新刊の到着とともに、
読者との出会いを待たず姿を消す運命にあります。実は手前味噌で恐縮なのですが、
当サイトの書籍紹介部「白川書肆」では、ノンフィクションにかぎって、ジャンル別に
近年発刊の文庫・新書を網羅して展示しております。例えば「落語・芸能」に関する
文庫本だけで75冊。「子育て」は70冊、「料理・食文化」は71冊といったぐあいです。
タイトルを眺めているだけでも、あなたは読書にさく時間を増やしたくなる筈です。


VOL.509 * 2008/01/02


「1月も私には6月」 ジュリー・ロンドン

2008年の正月はとにかく寒いです。元日から九州もあちこち雪に覆われて、
景色はそれなりに風情があって悪くないのですが、実家に挨拶しに行くにも
車のチェーンを付けたり外したり大変でした。九州人にとってチェーンタイヤを
履いて走ることなんて年に一度有るかないかの方も多いと思われます。
同じ雪道でも、轍の見える区間を走るときはそれに添っていけば楽なのですが、
新雪で轍の分からないほど覆われた場所は要注意です。30km/h以上の速度を
出すとチェーンがあっても操作不能になる場合もありますから気をつけましょうね。
今年最初のオヤジノウタは、ビング・クロスビーでも知られる表題曲を選びました。
日本と違って欧米では6月のイメージは、バラの香りのするロマンチックな月
なのでしょう。1月の風が寒くてもあなたがいれば6月だわと、彼女が歌うとき、
九州のジャズ喫茶でコーヒーをすする少年にも、暖かさが伝わってきたのです。